【THE RADAVIST】 CAMERA CORNER – WENDE CREGG AND THE BIRTH OF MOUNTAIN BIKING
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重たいオンボロ自転車「クランカー」で山を上り下りする、美しき変態たち。
バイクスタイル、ファッション、風景、仲間たち、そして、のちのレジェンドたち。
まだマウンテンバイクという言葉すら定着していなかった時代、その遊びとコミュニティを残した貴重な記録です。
この本が届いてから、英語の文章をアプリで和訳しながら、ゆっくり読みました。
1970年代、アメリカ・カリフォルニア州マリン郡。
まだ「マウンテンバイク」という完成されたカテゴリーが存在していなかった頃、彼らは古いSchwinnなどの頑丈なバルーンタイヤ自転車を手に入れ、山を走れるように自分たちで改造していました。
太いタイヤ、重たいスチールフレーム、幅の広いハンドル。
山を走る。壊れる。直す。改造する。そしてまた山へ行く。
そんな遊びの中から生まれた自転車が「Klunker(クランカー)」と呼ばれ、やがて現在のマウンテンバイクへとつながっていきます。
その歴史の中で、とても重要な場所が「Repack」です。
カリフォルニア州Marin County、Fairfax近郊にあった急勾配のダートロードを、クランカーで一気に下るタイムトライアル。
当時使われていたコースターブレーキは、長い下りでハブが猛烈に熱くなり、走った後に分解してグリスを詰め直す必要がありました。
「repack the hub」。
それがRepackという名前の由来です。
1976年に始まったRepackには、Joe Breeze、Charlie Kelly、Gary Fisher、Alan Bondsなど、のちのマウンテンバイクの歴史に深く関わる人たちが集まっていました。
レースをして、壊して、直して、もっと速く走るために改造する。
誰かの自転車を見て、新しいアイデアが生まれる。
その繰り返しの中でクランカーは進化し、やがてJoe BreezeのBreezerのような、古い自転車の改造ではなく、最初から山を走るために作られた自転車が生まれていきます。
そんなRepackのコースにあった、第2スイッチバック。
そこが「Camera Corner」です。
急なコーナーへライダーが突っ込み、タイヤを滑らせ、足を出し、ときには派手に転ぶ。
そこでカメラを構えていたのが、Wende CraggとLarry Craggでした。
二人はRepackが行われた時代を通してCamera Cornerで撮影を続け、ここだけでも約1,000枚の写真を残したとされています。
Wende Craggは、外からこのコミュニティを撮影していた写真家ではありません。
彼女自身も仲間の一人であり、ライダーでした。
だからこの本に残されているのは、後から振り返って作られた「マウンテンバイクの歴史」ではなく、まだマウンテンバイクというものが出来上がっていなかった時代を、そのコミュニティの内側から撮った記録です。
『CAMERA CORNER』の11ページに、こんな言葉があります。
“Every picture tells a story. Every story has a heart and soul. Facts are often lost in translation, but the camera doesn’t lie.”
「すべての写真は物語を語る。すべての物語には心と魂がある。事実は翻訳の中で失われることがある。でも、カメラは嘘をつかない。」
僕も普段、FUJIFILM X-Pro3やRolleiflexで写真を撮っていますが、Wende Craggのこの言葉の通り、いつも写真を見返しながら同じようなことを思います。
特にフィルムカメラで写真を撮って、現像して、データ化して、プリントができあがった時が一番興奮します。
撮った時には気づかなかった表情や風景、その日の空気まで写っていることがあります。
CAMERA CORNERには、当時のとても貴重な発見や情報、そして美しき変態たちの記録が詰まっています。
でも僕がこの本を読んでいて一番感じるのは、昔のマウンテンバイクの歴史だけではありません。
このコミュニティの素晴らしさ。
そして、いま自分たちが属している自転車コミュニティ。
仲間たち、いつも走るコース、美しい風景、自転車。
本を読みながら、何度も自分たちのコミュニティや走る場所、自転車の素晴らしさを再確認しています。
50年近く前のカリフォルニアの写真を見ているのに、どこか自分たちのいつものライドを見ているような気持ちになる。
自転車があって、山があって、仲間がいる。
誰かが走って、誰かが転んで、誰かが笑って、そして誰かがカメラを持っている。
時代も場所も違いますが、そこにあるものは今とそんなに変わらないのかもしれません。
この本をゆっくり読みながら写真を眺める時間が、とても好きです。
マウンテンバイクやクランカーが好きな人はもちろん、写真、自転車、仲間と走ることが好きな人にも、ぜひ見てもらいたい一冊です。
崔
8″ × 12″ FUJIFILM Fine Lustre Print
Hardcover Book
10″ × 10.5″
208 pages / Full Color
Offset Printed in Canada
CAMERA CORNER
Wende Cragg
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